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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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彼女からのプロポーズ(2)

すみません!
先週は寝落ちしてしまって、無断でお休みしてしまいました。

どうしよう、2週間前のこの妄想を書き始めたときのあのテンション取り戻せるだろうか!?
…がんばってみます

拍手[6回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「…」

「…」

『…』

ヒヨリの唐突なプロポーズの後、大きく目も口も見開いたグイドと、訝し気に眉をわずかにひそめた鋼牙と、ひたすらパチパチとまばたきを繰り返すザルバは、三者三様の沈黙に落ちた。
その中でも、さすがに年の功(?)と言うべきかザルバが真っ先に反応を返した。

『こいつは驚いた。
 お嬢ちゃん… いや、ヒヨリと言ったか… おまえさん、自分が突拍子もないことを言っているという自覚はないのか?』

呆れたような口調のザルバに、

「そうだよ、ヒヨリ。おまえ、なんてこと言うんだ!
 結婚だなんて、気でも違ったのか? ふざけるにも大概にしろよ?」

グイドはヒヨリの肩に手を置き、少し乱暴に揺さぶった。
それに対してヒヨリは少しも慌てず、グイドの手を払いつつ、冷静な口調で

「んもう、グイドこそ変なこと言わないでくれる?
 わたしは正気だし、すごく真面目に言ってるんだからね?」

と言った。
そして、再び鋼牙のほうに向き直ると、

「私、突拍子もないことを言っている自覚はあります。
 でも、あなたと結婚したいというのは嘘でも冗談でもありません。
 私との結婚、考えてみてくれませんか?」

と真っすぐに見据えて言い切った。
確かに、この様子はふざけて言っているわけではないようだ。

『…だそうだ。
 どうだ、鋼牙、おまえはどう答える?』

この展開を面白がっているザルバはニマニマしながら鋼牙に返事を伺うので、鋼牙は少しだけ考えてから口を開いた。

「ヒヨリ、少し聞きたいことがある」

鋼牙の問いかけにヒヨリはうなずいて見せた。

「俺と会うのはこれが初めてだと思うが違うか?」

「はい、今日初めて会いました」

ヒヨリの答えに、やはりそうだよな、と鋼牙は思った。
これまでに会った魔戒法師の中で、ヒヨリのような少女とも言えそうな若さの魔戒法師はそう多くない。
そのわずかな記憶においても、鋼牙は彼女の記憶はないように思ったのだ。

「では、俺がどこのどんなやつかもわからないだろう?
 そんな相手に、おまえはどうして結婚など申し込むのだ?」

鋼牙の問いかけを聞いて、何を聞かれるのだろうと緊張で強張(こわば)っていたヒヨリの表情が、ふっと緩んだ。
そして、なんだそんなことか、と言わんばかりにヒヨリは答えた。

「そんなの決まっています。
 あなたがとても強い魔界騎士だからです」

「強い魔界騎士?」

「ええ、そうです。

 私もグイドも、同じくらいの年の子たちの中ではわりと優秀なほうなんです。
 低級ホラーだったら倒すものそんなに問題ないくらいには、です。

 そんな私たちがてこずったホラーを、あなたは鎧を召喚せずになんなく倒したじゃないですか。
 だから、あなたはとても強い魔界騎士なんだと思います」

それを聞いて、グイドはクイクイとヒヨリの袖を引っ張る。

「おまえな、この人が強いなんて当たり前のことなんだよ。失礼なこと言うなよな。この人はなぁ、冴じ…」

鋼牙の顔色を伺いながらもグイドが彼の素性を教えようとしているのに構わず、鋼牙は質問を続けた。

「強い魔界騎士だから結婚したいというのか?
 ほんとうに? それだけのために?」

ヒヨリは両方から話しかけられて、グイドと鋼牙の両方にちらちらと視線を移していたが、鋼牙へと顔を向けた。

「はい」

「どうしてだ?」

「それは…」

ヒヨリは答えに迷うというよりは、何をどう話せばいいだろうかと迷いつつ、慎重に言葉を連ねていく。

「私の父は魔界騎士でした。そして、母は魔戒法師。
 でも、父は私が小さい頃にホラーに殺され、母は私を育てるためにと無茶をしたのでしょう。あるとき生死に関わるほどの大怪我を負いました。
 結局、なんとか一命はとりとめましたが、もう魔戒法師として生きていくことはできなくなりました。

 そんな母はほんとうに苦労して苦労して、私を育ててくれました。
 だから、私は強い魔界騎士と結婚して、安定した生活を手に入れたいんです。
 そうすれば母だってもう無茶をして働かなくてもいいし、第一、とっても安心してくれるはずで…
 あとはもう、自分の身体のことだけを心配してくれたらいいなと思ってます」

『なるほどね』

「はい、だから、無茶を承知でお願いします。
 私と結婚してください!」

ヒヨリはぐいっと大きく鋼牙のほうに踏み出すと、両手を胸の前で組み、祈るように懇願してきた。

鋼牙は動揺を隠しきれず、わずかにたじろぎつつ、

「落ち着け。少し冷静に考えてみろ。
 俺はおまえよりも10も20も… あ、いや、さすがにそんなには離れていないが。とにかく年が離れ過ぎていて、結婚というには無理があるのではないか?」

「そんなこと…」

鋼牙の言葉を否定しようと口を開いたヒヨリに、全部まで言わせずに鋼牙は続ける。

「それに、俺には大事な人がいる。だから、君とは結婚できない」

「えっ!」

ヒヨリは思いもしなかったことに驚いた。まさか、鋼牙にすでに相手がいるであろうことなど考えもしていなかったのだ。

だが、落ち着いて考えれば「それもそうか」と思った。
この魔界騎士はすごく強い。
それに、ヒヨリから見れば少々年は取り過ぎているかもしれないが、なかなかの… いや、かなり顔面偏差値も高い。
しかも、スタイルだってものすごくイイ!
こんな超優良物件なのだから、競争率はものすごいだろうし、まあ、年齢的にも相手がすでに決まっていてもおかしくないだろう。

考え込んでしまったヒヨリに、鋼牙は密かに

(これで諦めてくれるだろう)

と思っていた。
だが、その読みが甘いものだということは、次のヒヨリの一言が教えてくれた。

ややうつむき加減だったヒヨリは顔を上げ、思いつめた表情で鋼牙に告げた。

「それなら、結婚はもういいです。
 でも…
 その代わりに、私に赤ちゃんを作ってください!」

それを聞いたグイドは真っ青になり

「#※$%&¥☆!!!」

と声にならない叫び声をあげるかのように口をパクパクと開け閉めを繰り返し、鋼牙はこれでもかと言わんほどに両目を見開いた。
そして、ザルバは訝し気に眉を寄せ、ぼそっと呟いた。

『…どうしてそうなる?』



to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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