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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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彼女からのプロポーズ(3)

日曜のアップに間に合いませんでした。すみません!
日曜に書いてはみたんですが、鋼牙さんが鋼牙さんらしくなくて…

月曜こそ書き直してアップだぁ! …と思ったのに、珍しくも残業が発生。
そんなこんなで火曜までズレこんでしまいましたが、読んでくださる方がいるだろうかと心配ですぅ~

拍手[6回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

プロポーズをも上回るほどのヒヨリのお願いに、驚きのあまり言葉を失っていた鋼牙。
頭痛でもするかのように額に手をやり、はぁっと小さくため息を落としたものの、さすがに冷静さを取り戻すのも速かった。
すぐに気を取り直してヒヨリに視線を向けた。

「自分で何を言っているのかわかっているのか?」

ややトーンが低くなった口調に、ヒヨリは少し慄(おのの)いたものの、

「うっ…、は、はい。わかっているつもりです」

と返事をした。

「大事な人がいるというあなたの言い分はわかりました。
 でも、それならせめて、あなたの遺伝子を持つ子どもだけでも授けてもらえれば、と思ったんです。
 結婚して一生を拘束するようなことはダメでも、ほんのちょっとだけ、その… そういう ’行為’ をしてもらえばと…」

突拍子もないことを言い出すわりには、一応、人並みに羞恥心もあるのか、ヒヨリは赤くなりながら俯いた。
が、その恥ずかしさを蹴散らそうとするかのように、ぱっと顔をあげ、


「ほ、ほら、それならあなたの手もあまり煩(わずら)わすこともないでしょ?
 あなたも私もそのことを黙ってさえいたら、あなたの大事な人にだってきっとわからないし!」

意識的にニコニコと笑顔になって、どうってことないかのようにヒヨリは力説するが、当然のことながら、鋼牙は大きな(もう、それはそれは大きな)ため息をつきたくなった。
結婚を「一生の拘束」と言ってしまうところとか、妊娠までの行為を「ほんのちょとだけ」などと言ってしまうあたりなど、

(いろいろ駄目に決まっているだろ…)

と脱力感すら覚える。

(見ろ。その若い魔界騎士も混乱しまくってるではないか…)

鋼牙は、グイドとかいう魔界騎士が、目を白黒させて、顔を青くしたり赤くしたりしながら、混乱しまくっている様子をちらりと見て、同情した。
多分、先ほど話していた感じから、彼らは互いによく知る仲なのではないだろうか。
それが仕事の上だけなのか、プライベートもなのかは知らないが、今回のことに限らず、彼女にいろいろ振り回されているんだろうなと想像するのだった。
そうやってグイドに同情したところで、鋼牙は少し落ち着いた。

(さあ、これからどうしたものか…)





鋼牙は、できるだけ感情を交えぬ声色でヒヨリに尋ねた。

「君の言いたいことは理解した。

 …では訊こう。
 君はその ’行為’ の経験は?」

ヒヨリは瞬時に固まり、

「あ、ありません…」

と小さな声で答えた。

「そうか…
 では、そんな君が、着ているものを一枚残らず脱いで、俺の前ですべてをさらけ出すことはできるのか?」

うっと息を飲んだヒヨリは、

「それは… で、できます!」

と硬い表情のまま言い切った。

「ならば、それはいいとして…
 裸になった君の身体の至るところを、俺が触れても構わないのだな?

 君が初めてだというなら、それなりに時間をかける必要があるのだが…
 じっくりと… ゆっくりと… まどろっこしいくらいに… しつこく…」

思わせぶりに、わざともったいぶった口調で言うものの、鋼牙は内心では

(子ども相手に俺は何を言ってるんだ、まったく…)

とやりきれなさを覚えていた。
もちろん、そんなものはうまく隠して、表面的には冷たいくらいに平然としていた。

すると、それまでひたすらアワアワしていたグイドがハッして、ヒヨリの肩をぐいっと掴んで

「おいっ、ヒヨリ! おまえ何言ってんだ。
 こんなバカなこと言うのはやめろよ」

と止めに入った。
だが、当のヒヨリはグイドの邪魔が入ったことで逆に勢いがつく。

「グイドは黙っていて! あんたには関係ないでしょ?」

グイドの手を振りほどくようにしながら鋼牙に強く言った。

「そんな気遣いなんかいりません!
 痛かろうがなんだろうがいいんです! ひとおもいにさっさと終わらせてもらって結構ですからっ!」

「なっ、何言ってるんだ!」

「んもうっ、うるさい!」

ヒヨリとグイドの間でギャイギャイと小競り合いが始まったのを見て、鋼牙は完全に呆れてしまった。
しばらくの間、若いふたりの言い合いを見ていたが、やがてスッと息を吸って言い放った。

「ヒヨリ」

大きな声ではないが鋼牙のよく響く声に、ふたりはピタリと口を閉ざしてそっと鋼牙に目を向ける。

「君は、ソレをさっさと終わらせることができると本気で言っているのか?」

その言葉には、隠そうにも隠せない「鋼牙の呆れ」が出ていた。
ヒヨリはパチパチと瞬(まばた)きを繰り返す。その瞬きの分だけ鋼牙の言葉を理解していったようだ。
そして、

「えええっっっ! そんな簡単にはできないんですかっ?」

と鋼牙に掴みかからんばかりに身体を乗り出した。



(やはりな…)

魔界騎士にしろ、魔戒法師にしろ、日の当たるきれいな場所や人といったものからは対極のもののほうが ’なじみ’ がある。
男女の仲のことなどだって、知識のひとつとして知ることは普通の人間よりもうんと早いかもしれない。
とは言え、見聞きして識(し)ることと、体験して知ることはやはり違うのである。

愛する人に触れること、肌を合わせること、吐息が混ざり合い、共に登りつめることのこのうえのない喜びを知ってしまえば、欲求の処理でしかない行為は、傍(はた)から見ると同じ事であっても天と地ほどの違いがある。
それを鋼牙が知ることができたのも、体験があればこそなのだ。



普段の鋼牙なら、「付き合いきれない」とばかりにさっさとこの場を立ち去っただろう。
けれども、今の鋼牙はちょっと違っていた。
この危ういほど若い魔戒法師にお節介を焼きたくなっていたのだ。
それは、ヒヨリが鋼牙に向かって真っすぐに話すせいかもしれなかった。

黄金騎士で、牙狼の鎧を継承する者で、過去にはメシアやらレギュレイスやらイデアやら強大な敵を倒し続けてきた冴島鋼牙という男を前にすると、大概の者は畏敬や畏怖の念を持ち、その緊張感にこちらまで肩が凝るような気分にさせられる。
だが、このヒヨリという少女は、初対面であるためだとか、自分の願いを叶えてもらうためだとかの緊張はもちろんしているものの、その緊張は居心地の悪いものではなかった。
その点、ヒヨリはと言うと、彼女の要求はあまりにも無謀でかなり驚かされるが、その理由をきちんと説明しようとする誠実さを持ち合わせているし、第一に、そのあまりにも裏表のない率直さは、普段は相手の裏の裏まで読まなければいけない場面も多い鋼牙にとって非常に好ましい。

そんな彼女だから、鋼牙はもう少しちゃんと話をしてやらなければと思った。



「この際、君が何をどこまで知っているのかは追及しないが、そういう ’行為’ を安易に考えないことだ。
 男が与えるものを女が受け取る… ただそれだけだというわけじゃない」

鋼牙の言葉に、ヒヨリは難しい表情になる。
鋼牙の言わんとすることを理解しようとしているのだろう。

「こう言えばわかるだろうか…
 強い魔界騎士の血を引く子どもがほしくて、愛情もない相手に手っ取り早く妊娠させてもらったとしよう。

 その子どもを無事に産むために母親はいろいろ行動が制限され、絶えず注意しなければならないことは知っているだろう?

 いざ出産となれば、痛いから、苦しいからと言って途中でやめるわけにもいかない。
 それこそ命を賭(と)してでも産む気概が君にはあるのか?

 もし… 無事に生まれたとしても、その子に障害があったらどうする?
 それでも、愛情を持って育てられるのか?
 それとも、そんな子は強い魔界騎士になれないからと、捨ててしまうのか?」

ヒヨリの顔がどんどん曇っていき、泣き出しそうに歪んでいく。

「男も女もお互いに愛情を持っていて、愛ある行為で赤ん坊が生まれたとしても、みんながみんなしあわせにはならないことを、君は知っているだろう?

 ヒヨリ。
 君が言うような ’ひとおもいにさっさと終わらせる’ ような行為で生まれた子どもは、果たして、君の思うような強い魔界騎士になれるのだろうか?」


to be continued
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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