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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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彼女からのプロポーズ(1)

大河さんの妄想を書き終えて、ちょっと燃え尽きちゃった感じがしていたんですが。

う~ん、どうしてなんだろう。
牙狼ってやっぱりなんだか妄想しちゃう…

振り返るに、2012年6月16日に初めての妄想をアップしてから、気ままな妄想が積もりに積もって現在に至ります。
10年って… いやぁ… うそやぁ… はぁ~っ…

拍手[7回]



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鋼牙がその場所に着いたとき目にしたものは、怪我を負った若い魔界騎士を背にかばって、目の前のホラーからの攻撃に対して両足を踏ん張り防御の結界を張る小柄な魔戒法師の姿であった。

「ヒヨリっ! 俺に構わずおまえは逃げろっ!」

そう怒鳴る魔界騎士は、怪我を負った左肩が痛むのか、ううっと呻いて少しよろめいた。

「グイドは少し黙ってて! 集中しないとやられちゃうでしょ! くっ…」

口では強気なことを言っているヒヨリと呼ばれた魔戒法師はまだ少女のようにも見えるかわいらしい顔立ちだったが、必死の形相で奥歯をぐっとかみしめ汗にまみれて表情を歪めていた。
2メートルを超すかと思えるホラーは片手を前に突き出してじわりじわりと彼らを押し込めようとしている様子は、一刻の猶予もないようなひっ迫した状況だった。

ザルバはすぐさま

『鋼牙っ!』

と呼びかけると、鋼牙は渾身の力で地面を蹴っていた。
駆けながらすらりと抜いた剣がひらめき、彼らを襲うホラーの手へと振り下ろされる。
が、すんでのところで気づいたホラーが手を引っ込めて、打撃を与えることはできなかった。

ヒヨリは急に横から飛び込んできた人影に驚いたのと、ホラーからの攻撃の圧力がなくなったのとで、勢い余って後方に派手に吹っ飛んだ。
が、それを怪我をした魔界騎士、グイドが全身で受け止めたので、なんとか無様に転ぶようなことは免れた。

「大丈夫か、ヒヨリ!」

「う、うん…」

ヒヨリの無事を確かめたグイドは、すぐに前方の魔界騎士に目を向ける。
それを見て、茫然としていたヒヨリもハッと我に返り、グイドと同じくその人物を見た。

真っ白なコートの背中の中央には三角形の紋章。

(えっ、まさか!?)

グイドはその人物が誰なのか思い至り、驚いた。

「下がっていろ」

こちらにはチラとも視線を向けずに背中越しに聞こえた低い声は、決して大きなものではなかったが、しっかりとふたりの耳に届いた。

「ヒヨリ、こっちだ」

グイドはヒヨリの腕をつかんでさらに後方へと下がろうとした。

「えっ、でも!
 私たちもあの人に加勢したほうがいいんじゃないのっ!?」

戸惑いつつも魔導筆を握る手に力を込めて駆け寄ろうとするヒヨリに、

「大丈夫だ!
 あの人なら、俺たちの手助けなどがかえって邪魔になる!」

と言い含めるように言ったグイドは、ヒヨリを引きずるようにして建物の陰に身をひそめた。





グイドの言った通りだった。
助けに入った魔界騎士は、細身で繊細そうに見える両刃の直剣を自在に操り、ヒヨリとグイドがふたりがかりで苦戦していたホラーを、なんと鎧を召喚しないまま斬ってしまった。

(すごいっ!)

ヒヨリもグイドもその魔界騎士の闘いぶりを、それこそまばたきを忘れて見つめていたが、ホラーが黒い霧となって消滅したときには、昂奮で目を輝かせた。
そんなこちらの昂(たか)ぶりとは対照的に、静かに剣を鞘に収めた鋼牙はふたりを振り返った。
ヒヨリとグイドは鋼牙に駆け寄り、口々に礼を言う。

「ありがとうございました!」

「ありがとうございます。助かりました!」

そんな彼らに鋼牙は

「いや…」

と言葉少なに応じ、

「それより、怪我の手当てを早くしたほうがいい」

と若い魔界騎士の身体を心配した。
グイドは怪我を抑えていた右手を外して自分の怪我をちょっと見下ろしてから、

「はい。派手にやられてしまって… お恥ずかしいです」

と自分の未熟さに恥じ入った。
すると、ザルバが横からちょっかいを掛けるように口出しをしてきた。

『おい、お嬢ちゃん。
 おまえさんも魔戒法師なら、ぼぉっとしてないで止血なり回復なり手当てしてやりな』

突然の魔導輪の登場にグイドはぎょっとしたが、ヒヨリはむっとした。

「あのねぇ、わたしこれでも16なの! 子どもじゃないんだから!
 それに、わたしにはヒヨリっていう名前もあるの!
 だから、お嬢ちゃんだなんて言わないでくれる!」

そう言ってむくれる彼女に、

(やれやれ、これのどこが「子どもじゃない」と言うんだか…)

と思うのはこの場にいた「大人たち」の共通見解だったが、さすがに「大人だから」そこをほじくったりはしない。

『了解…
 じゃあ、ヒヨリ。そいつの怪我の手当てを頼んだぜ。
 で、この件の報告はこっちのほうでやっとくから、悪いがそっちのおまえさんの名前も教えてもらえねぇか?』

ザルバに声を掛けられたのが自分だと気づいてグイドは慌てて背筋を伸ばす。

「あ! 俺、グイドと言います。曙の管轄の魔界騎士です!」

『OK、曙の管轄のグイドとヒヨリだな。
 ではグイド、しっかり怪我を養生して早く戻って来いよ』

「はい、ありがとうございます!』

グイドはザルバにそう返事をした後、目線を上げて鋼牙を見上げる。

『あ、あの… 間違ってたらすいません。あなたはひょっとして、冴…」

グイドが白いコートと言ういで立ち、その背の紋章、そして剣の形状から導き出した推測の答え合わせをしようと彼の素性に言及しようとしたとき、ヒヨリが唐突に口を開いた。

「いきなりでごめんなさい!」

(えっ?)

その場にいた者すべての視線が彼女に集まった。
ヒヨリは真っすぐに鋼牙を見つめていた。

「わたしと結婚してくれませんか?」




to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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