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言わず語らず(3)
大河さんのいない日常が一日一日と着実に過ぎていきますね。
でも、牙狼が好きな者としては、ふとしたときにやっぱり大河さんを思い出すんでしょうね、この先もずっと。
それが供養になると信じたいなぁ…
でも、牙狼が好きな者としては、ふとしたときにやっぱり大河さんを思い出すんでしょうね、この先もずっと。
それが供養になると信じたいなぁ…
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ザルバに案内された鋼牙は、英霊の塔から最短のルートをたどり、ガジャリの元へとやってきた。
鋼牙がこの場所に来たのは3度目になる。
シグマによって刻まれた破滅の刻印から、自分を含めた多くの魔界騎士を開放するべく魔導列車に自分を移動させろと願ったとき。
次は、その願いを叶えた代わりに鋼牙が負うべく試練を言い渡されたとき。
そして今また、カオル奪還のために願い出ようとしていた。
それにしても…
相変わらずここの空間の空気は電気でも帯びているようにチリチリと肌を刺し、魔法衣に守られている魔界騎士といえども、快適というにはほど遠い場所だった。
つい先ほどまでいた英霊の塔の白く温かい光に満ちた空間とは、まったくといっていいほどの真逆の場所。
だが、それにも関わらず、鋼牙の態度は変わらなかった。
片膝をついてガジャリに対して殊勝な態度ではあるものの、その揺らぎないまなざしは、目の前の中空をゆらりゆらりと浮かんでいるガジャリをしっかりと捕らえていた。
『冴島鋼牙。
何しに我の元に来た…』
腹に響くような低く物々しい声が、空気を震わせる。
「ガジャリ、頼みたいことがある!」
意思の強さそのままに、鋼牙は決然とした調子でガジャリに向かって声を張るが、それに対してガジャリは淡々と言葉を返してくる。
『すでに知っておろうが、我に願いを叶えてほしくばそれ相応の試練を受けねばならない。
それでもよいのか?』
「もちろんだ。
俺の望みを叶えてくくれば、俺もそれに応えよう!」
『よし…
では、おまえの望みを言え…』
そう問われた鋼牙は、無意識にごくりと喉を鳴らし、小さく呼吸を整えてから声を張り上げる。
「俺の身体を冴島カオルの元に移動させてくれ」
『冴島カオル?』
「そうだ。
いきなり現れた時空の裂け目のようなものに吸い込まれて消息を絶った俺の妻だ。
できるか、ガジャリ?」
鋼牙の問いかけにガジャリは、フッと鼻で笑った。
『そんなこと、我にとっては事もないことだ』
それを聞いた鋼牙は、内心ほっとしてわずかに肩の力が抜けた。
ここでガジャリに無理だと言われては、もう打つ手がないところだったのだ。
けれどもまだひとつ。
鋼牙はガジャリに交渉しなければいけないことが残っていた。
それゆえに、その表情は険しいままだった。
『では、冴島鋼牙。その場に立て…』
「待ってください!
ガジャリ、俺の望みはもうひとつある!」
『なに?』
「将来、俺の息子、冴島雷牙がここを訪ねて来るはずだ。
そのときの息子の願いを聞き届けた代償である試練を、俺が引き受けたい」
『…』
無言の時間がふたりの間に流れた。
その間、ガジャリは変わりなく空中をゆらゆらと揺れ、表情などからその考えなど推測することなどできようもなかった。
さすがの鋼牙も呼吸をすることも憚(はばか)られ、息苦しさを感じた。
無意識のうちに喉がゴクッと鳴ったとき、ガジャリが再び口を開いた。
『冴島鋼牙よ。おまえはいつからそんなに欲張りになったのだ。
ひとつならずふたつとは… おまえの身がいくつあっても足らぬではないか』
怒りとか嘲(あざけ)りとかといった感情などはまったく感じられないガジャリの様子に、鋼牙は少しだけ安心して意を強くした。
「もちろん、分かって言っています」
神妙な面持ちで返事をする鋼牙の声は低い。
だが、視線は決してそらされなかった。
「だが、ガジャリ。考えてみてくれ…
俺がカオルの元に行けば、容易にこちらの世界に帰ってくることはかなわないだろう。
ならば、俺に与える試練も限られるのではないか?
そして、俺のふたつめの願いに対する試練もまた、時空を超えた先でしか達せられないものだとしたら…」
途中までそう言ったところで鋼牙は意図的に言葉を区切り、意味深なまなざしをガジャリに向けた。
鋼牙は、ガジャリが雷牙に課す試練がわかっているのだろうか?
再び沈黙のまま時間が流れた。
すると、ガジャリはハッハッハッと楽し気に笑いだした。
ガジャリが笑うとは…
鋼牙がガジャリに相対するのは幾度とはないが、初めて感情らしいものを見せた瞬間だった。
『冴島鋼牙よ。おまえはこのガジャリを相手に手玉にでも取ってやろうというのか? 小賢しい奴よ…』
思わず鋼牙はぎょっとして息を飲む。
『だが、まあ、いいだろう…
おまえが我に願ったひとつめの願いに対する試練と、ふたつめの試練はこうだ!
時空の狭間(はざま)に彷徨う人々を救い出せ。
そして、その時空の裂け目をすべて塞(ふさ)ぐのだ』
鋼牙の表情がわずかに険しさを増す。
『これはおまえの力をもってしても達成できないことかもしれない。それでもよいのだな?』
「ああ、かまわない」
『そう言うとは思っていた。
なにせ、そうなるようおまえが仕向けたことでもあるのだから…
だがな、冴島鋼牙よ。これだけは言っておく。
我がおまえの意の通りに動くのは、これが最初で最後だ。次はないと思え』
言葉に温度というものがあるのだとしたら、今の言葉の温度は間違いなく絶対零度。
鋼牙は一瞬言葉に詰まりつつも、
「っ…もちろんです。次の機会などありはしないだろう。
それほど、この試練は容易なものではないことはわかっているつもりです」
と答えた。
『うむ。ならば、そこに立て、冴島鋼牙よ。
我がおまえの身体を冴島カオルの元に転移させてやる。
そして、そのままおまえは ’時空(とき)の旅人’ となり、我の与えた試練を果たすのだ』
鋼牙は迷いなく立ち上がった。
そして、すぐにふっとガジャリの前から姿が消えたのだった。
消える瞬間、
「承知!」
という一言を残して…
to be continued(4へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
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