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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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あの日の誓い(1)

本日、気圧の変化がすごくて頭痛がひどかったんですが、ゆっくりと湯船につかり、妄想にもどっぷりと浸(ひた)ったら復調してきました!

ひょっとしたら、妄想は頭痛に効果があるのかもしれませんよ?


拍手[4回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

紙一重。

互いの命を削りあう闘いの中では、その一瞬の隙が致命的な分かれ道になる。
今、狡猾なホラー相手に息をもつけぬせめぎ合いを繰り広げていた烈花は、小さな窪みに足を取られてわずかに意識が足元に移ってしまった。
すぐに目の前の敵に集中しようと意識を戻すが、たった今まで目の前に迫っていたはずのホラーが視界から消えていた。

(まずいっ!)

烈花は素早く四方に意識を飛ばすが、烈花の左方に大きく身体を沈み込ませていたホラーが鋭い牙を剝き出しにして烈花目掛けて飛び込んで来るのを見た瞬間、自分の負けを覚悟した。
大きく曲がった爪が烈花の肩にかかり、息が詰まる様な臭気に顔を背けそうになったところでホラーの動きが止まった。



間一髪。

ホラーの爪がかかった烈花の白い肩から一筋の鮮血が流れ出す頃には、ホラーの身体は後方に押し戻されていた。
それと同時に、そのホラーと烈花の間に黒いコートの男が割って入ってきた。

「はぁ、はぁ、どうやら間に合ったようですね」

整わぬ息のもとでそう言い、背にかばった烈花をちらりと見やった男。
長身の男をはっと見上げた烈花は、男が誰なのかわかり、その名が口からこぼれた。

「…レオ」

もちろん久方ぶりの再会はのんびりと懐かしむ時間などない。
すぐにホラーの方に向き直ったレオは、ホラーに反撃の暇(いとま)を与えずに剣を閃かせた。
烈花も攻めあぐねるような狡猾なホラーだったが、頭脳戦ではレオも負けないようだ。
時折、ぶつぶつと口の中で素早く唱えては光の砲弾をぴゅんぴゅんと放ちながら剣を振るっていくので、じわりじわりとホラーを追い詰めていく。
けれどもそれはホラーの作戦でもあったようだ。

周囲をぐるりとビルに取り囲まれた袋小路に追い詰められたホラーを前にして

「そろそろ追いかけっこも終わりだ。
 きさまにはもう逃げる場所はないようだな」

と告げたレオは思わずフッと笑みを浮かべた。
おどおどと怯える様子を見せてキョロキョロと逃げ道を探すように辺りに目を配っていたホラー。
だが、急に態度を変えると、ギッギッギッと耳障りな笑い声をあげた。

「さあ、そいつはどうかな?」

不敵にもそう言うと、わずかに身を沈みこませる。
レオは口を真一文字に引き結ぶと、ホラーの反撃に身構える。
が、次の瞬間、驚きに目が見開かれる。
というのも、ホラーがメキメキと音を立てて形態を変えていったのだ。
背中の一部がぱっくりと割れ、蝙蝠の翼にも似た黒い翼が生えてきて、バサバサと確かめるように動かされるとホラーの身体が宙に浮いた。

「飛べないおまえは俺を捕まえることなどできないだろうよ」

嘲(あざけ)るような口調でそう言ったホラーは、より一層翼を大きく羽ばたかせて一気に頭上高くに舞い上がった。
そして、これで逃げられると思ったホラーは、自分がうまくあしらった魔界騎士が地団太踏むのを見てみたい気がして、視線を下に向けた。
すると、しまったといった顔をして上空を見上げる魔界騎士の顔が見え、ホラーは喜びが禁じ得ない。
だが、次の瞬間、レオはにやりと笑った。
それはそれは、とても妖しげで黒さを感じるような笑みだった。
その意味を訝(いぶか)しく思ったホラーだったが、身体の自由が急に奪われて

「うっ」

と息を飲んだっきり動けなくなった。

(こ、これは、どうしたことだ?)

首を動かすこともできないので、目ばかりギョロギョロと動かす。
すると、雲間が切れ、それまで朧にかすんでいた月の光が辺りを静かに照らし出すにつれ、ホラーの身体の周りに張り巡らされた金糸のような無数の糸が見えてきた。

(ううっ)

糸は力を入れれば切れそうに細かったが、動けば動くほど雁字搦(がんじがら)めにまとわりついて身体が拘束されていった。

「うまく引っかかってくれましたね。
 仕込んでおいた罠にこうもうまく引っかかってくれるとは思いませんでしたよ」

上を見上げてそう言い放つ魔界騎士の顔を、ホラーはギリギリと奥歯を嚙みしめて睨むしかできない。
レオは顔の前に剣を立て両手でしっかりと握りしめると、天に突き立ててくるりと円を描いた。
するとレオの身体は眩しい光に包まれて、青く光る鎧が召喚された。

閃光騎士 狼怒

だが、ホラーがその姿を目にしたのはほんの一瞬。
次の瞬間には、狼怒の剣によりその身が大きく切り裂かれていた。




鎧を解いたレオは、烈花の元へと小走りに近づく。
烈花のほうも傷ついた肩に手を当て、片足を引きずるようにしてレオの方へと歩み寄る。

「大丈夫ですか、烈花さん」

心配そうに尋ねるレオに、烈花は笑顔もなく

「ああ、大丈夫だ」

と答えるのだった。

「レオ… おまえのおかげで助かった。
 だが、どうしてここに?」

「えっと… たまたまです」

そう答えたレオを烈花はじっと見つめた。
なんとなく言葉を濁すような物言いに、烈花は、そんなわけないだろう、とでも言いたげだ。
そんな烈花に、レオは視線をきょろきょろと落ち着かなくさせていたが、じきに観念した。

「…というのは嘘です。
 あ、いや、まんざら嘘でもないんですが…

 実は調子が悪いという号竜を確かめにこの近くに来たのはほんとに偶然なんです。
 でも、この近くに烈花さんがいると知ったので、わざわざ足を運んだというところは偶然ではないです」

「…そうか。なんにしろ、今回はおまえが来てくれてよかったよ」

「それはよかったです」

わずかに表情を緩めた烈花に、レオもほっと肩の力を抜いて微笑んだ。

「で?」

「はい?」

「おまえがわざわざ俺に会いに来たってことは、俺に何か用があったんだろう?」

首をわずかにかしげてレオに問う烈花。
その姿はレオの目にはかわいらしく映り、ぼんやりとしてしまった。
そのために、ついぽろりと本音がこぼれる。

「あなたに会いたくて…」

「えっ?」

レオの言葉に烈花は驚きのあまり目を大きく見開いた。



to be continued
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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