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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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2023年はうさぎ年!

あけましておめでとうございます。
2023年があけまして、どちらかというと selfish にとっては悪いニュース、悲しいニュースのほうが多いのですが、妄想を糧にして少しでも明るく楽しくこの1年を乗り切りたいと思います!
さて、新年一発目の妄想ですが、少しなりともくすっと笑っていただければと嬉しく思います…


拍手[4回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

冴島邸のリビングで、真剣な表情で何かに取り組んでいた雷牙が、

「よし、できた!」

という声とともに表情を緩めて笑顔を見せた。
手にしていた筆を置き、たった今書き上げたものを顔の前にかざして満足げに何度もうなずいた。

その様子をドアの陰からそっと窺っていたマユリとゴンザがほっとして顔を見合わせてから、そっと中に入ってきた。

「できたのか、雷牙?」

マユリはそう言って雷牙に近づこうとしたが、ドアからそう何歩も近づくことができない。
というのも、雷牙の書き散らした紙が辺り一面に散在していたからだった。

マユリの声に振り返った雷牙は、

「ああ、できたよ。
 どう? なかなかいい出来だと思わない?」

と、今しがた書き上げたものをマユリたちのほうに掲げた。
それを見て、ゴンザは「ほおっ」と感嘆の声を上げ、マユリはにっこりと微笑んで見せた。

「とてもよく書けてるんじゃないか?」

「ええ、ええ。素晴らしい出来ですよ、雷牙様」

そう言いながら、マユリとゴンザは顔を見合わせ頷きあいながら、雷牙に視線を戻した。
雷牙が書いていたのは、屋敷を取り囲むように張る結界のための札だった。
結界のための札は魔戒法師たちが作ったものを利用する場合もあるが、冴島家では代々、年が改まるのを機に当主が想いを込めて書いたものに対して、結界をより強固にする術を信用のおける魔戒法師に頼んで施してもらうことになっている。

「ですが、雷牙様。これは北の札ですよね?
 このほかの札はどれになりますか?」

ゴンザはそう言うと、床に散らばっている魔戒文字が書かれた何枚もの紙をきょろきょろと見渡した。
冴島邸は広大な屋敷であるため、通常は東西南北に結界の札を張るのだ。
今、雷牙が手にしているのは、北を護(まも)るための札。
このほかに、南を防ぐ札、東に聳(そび)える札、西を阻(はば)む札の3枚が必要だ。

「ああ、それなら…」

そう言って雷牙もキョロキョロと辺りを見渡して、

「確かこっちに…」

と言いながらわずかに見える床にひらりと降り立ち、床にある札をカサコソとかき分けて

「これが西の札ね」

と1枚取り上げ、

「それから…」

とまた別の場所へとふわりと移動しては、

「南のが… えっとどれだ?」

と記憶を頼りに「採用」となった札を探し出していく。
その後ろをゴンザがアワアワと追いかけては雷牙の見つけ出して差し出される札を集めて行っているのを見ながら、マユリはくすくすと笑っていた。
北、西、南と3枚の札が見つかり、最後の東の札を「ここでもない」「あっちか?」と雷牙が探していたところ、雷牙の動きで生じたのか微かな風が起こって、床にあった札がひらりひらりと動き出した。
そして、その中の1枚がマユリのそばに飛んできたので何気なく目で追っていて、マユリはぎょっと目を大きく見開いた。

「これは… 何だ?」

マユリはわずかに眉をひそめて、その札(?)を手にした。

「あった! これこれ!
 ん? マユリ、どうかした?」

最後の1枚の札を見つけて満面の笑みを見せた雷牙が、1枚の紙を手に固まってしまったマユリに声を掛けた。
それでも、ソレを凝視して身動きしないマユリに、ゴンザは心配そうに

「マユリ様?」

と声を掛けながらそっと近づく。
すぐ近くまで来たゴンザに、マユリはハッとしてから、

「これ…」

と手の中の紙をゴンザに見せた。

「うっ、これは…」

マユリの差し出したものを覗いて見たゴンザは、困惑した顔になる。
ふたりの尋常じゃない反応に、雷牙は緊張感を走らせて

「どうした!」

と近づいた。
そして、ふたりが見ていたものをひったくるように奪うと、眉間にしわを寄せて目を走らせた。
だが、すぐにその表情から力が抜ける。

「なぁんだ。何か妖しいものでもあったのかと驚いたじゃないかぁ」

と笑顔すら見せる雷牙に、マユリとゴンザの表情は晴れない。
そのうち、ゴンザが遠慮がちに口を開いた。

「あの… 雷牙様?
 これは、その… なんでございましょうか?」

「え? これが何かって?
 いやだな。ゴンザ、わからないの?」

きょとん顔の雷牙に、マユリもゴンザを援護する。

「雷牙、わたしにもわからない。なんなのだ、これは?」

そう言われて、雷牙は

「えぇーっ」

と声を上げてから、

「やだなぁ。これが耳でしょ? そしてこれが身体でこれがしっぽで… うさぎに決まってるじゃないかぁ」

これがわからないなんて、と心底そう思っているようにショックを受けた顔で雷牙は答えた。

「「う… さぎ…?」」

マユリもゴンザも茫然として声を重ならせた。

雷牙の名誉のために言おう。
雷牙の書いた東西南北の札は、それはそれは非のつけどころのないくらい達筆で芸術品と言ってもいいくらい美しい文字だった。
だが、雷牙の絵のセンスは壊滅的だ。
画家の息子がこれなのか!? と引かれるくらいセンスがない。

「そうだよぉ。2023年はうさぎ年だっていうからさ。ちょっと書いてみたんだけど、なかなかうまく描けてると思わない?」

そう言ってニコニコしている雷牙にマユリたちの頬が引きつる。




その後。
東西南北の札とともに、このうさぎ(もどき?)の札にも術を掛けてもらおうとする雷牙に、そんなことをされては歴代一と称えられている雷牙の威光が失墜してしまうと青くなったゴンザがあれやこれやとなだめすかし、なんとか最後には

「これはものすごく気に入ったから、私の部屋に置いておいて誰にも見せたくない」

と言ったマユリの言葉に上機嫌になった雷牙が「うん」といったので、なんとか魔戒法師の目に触れさせることを阻止できたのであった。
鼻歌交じりに「不採用」となった札を片付けている雷牙を横目に、うさぎ(なのか?)の札を胸に抱いたマユリと、「採用」になった札を持ったゴンザは、心の底から安堵の溜息を吐いているのを見て、ザルバがくっくっくっと笑っていたのを雷牙は知らない。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


いかがでしたか?
雷牙の明るさに笑顔がこぼれてくれたら幸いです。

2023年の始まりは、息子が魔獣コロナに憑依されたり、創作仲間の茅様が卒業されることになったりと暗い幕開けになってしまいました。
それでも、息子は1日だけ熱があっただけであっという間に復調してくれたし、茅様もずっと牙狼好きでいてくれるであろうことを期待しているので、selfish は明るく気ままに生きていきます!

ああっ、そうだっ!
2022年(去年)のもくじを作らなきゃ!
うん、牙んば狼!



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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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