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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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もふもふハプニング!(1)

シリアスな牙狼のファンの方にお願いです。
できましたら、この妄想は読まずに「回れ右っ!」と引きくださいませ。
ほんと、どうしようもないこと書いているので、気分を害される前にどうか読まれませんように!

拍手[2回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ある朝のことだった。
半ば覚醒しつつありながら、天国(=暖かな布団)でのまどろみを楽しんでいたカオルは

「ふぎゃああああっ!」

という何とも言えないゴンザの悲鳴に飛び起きたのだった。

「へっ、なになに?」

まだよく開かない目をきょろきょろさせ、ボサボサな髪をかきながら、状況を把握しようとまだ鈍い頭の回転数を必死にあげようと試みた。
だがここは冴島邸の2階。
まだ時間も早いだろうことは、カーテンの向こう側の光が弱々しいことからなんとなく想像がつく。
そんな時間なら、ゴンザはまだ起きたばかりか、あるいは朝食の用意をしようとキッチンにいるはずだ。

カオルがそこまで考えたとき、廊下を走っていく足音が聞こえた。
その足音はそのまま階段を駆け下りていったようで、ゴンザの悲鳴を聞きつけた鋼牙が恐らく彼の元へと急いでいるのだろうと思われた。

(あっ、こうしちゃいられない!)

カオルも慌ててベッドから降りて、その辺にあったカーディガンを引っかけながら部屋を飛び出した。




階下へ急ぐと、ゴンザの自室から再び、

「はぎゃああああっ!」

というゴンザの悲鳴。
カオルはそちらへと足を向け、廊下を走っていると、すぐに

「こ、鋼牙様っ! これはまたどうしたことですかっ!」

というゴンザの叫ぶような声が聞こえてきた。

(えっ、なに? 何があったの?)

漠然とした不安を覚えながらも、開けっ放しのゴンザの部屋のドアから中へと飛び込んだ。

「ゴンザさん! どうしたの!」

そう言ったカオルに一斉に振り返るゴンザと鋼牙。
その姿を見て、カオルの目は大きく見開かれ、息を飲む。

口をパクパクとして、声にならない声を出すカオルに、ゴンザは情けない顔を見せる。

「カオル様…
 実は、朝起きたら、わたくしの手が…」

そう言ってゴンザが両手を顔の横に持ち上げてカオルに見せた。
すると、そこにはパジャマの袖の先に、何かの動物のような毛むくじゃらな腕がにょきっと出ていた。短い指の先には鉛筆の芯のような獣の爪が伸びていて、手のひらには黒い肉球があるではないか。
もちろん、それはそれですごく驚くべきことなのだが、それをさらに上回るのはゴンザの隣りにいる人物だ。
なんと、その人物の首から上が狼の頭だった。
尖った耳。長く伸びた鼻先。大きく裂けた口の中には鋭い歯が並んでいた。

「鋼牙、なの? その顔…」

カオルの声に鋼牙だと思われる人物が口を開く。

「ああ。俺も朝起きたらこうなっていた」

そう言った声はまさしく彼の声だ。

「どうして、こんな…」

戸惑うばかりのカオルの問いに、ゴンザは表情を曇らせたまま、わからないという風に首を横に振る。
途方に暮れるしかないゴンザとカオルに対して、鋼牙は言った。

「とにかくザルバにも聞いてみるが、元老院のほうにも報告して協力を仰ごうと思う」

それを聞いて、ゴンザたちは大きく頷いてみせた。

「さて…」

おもむろにそう切り出した鋼牙がカオルの方を向く。
鋼牙の声だが、狼の目に射貫くように見つめられ、カオルは瞬時に緊張に包まれる。
身を固くするカオルに鋼牙は言った。

「おまえはどこもなんともないのか?」

そう尋ねる狼のまなざしはとても心配そうに見えた。
そっとカオルの肩に手が伸ばされ、右に左に身体をひねるようにしてカオルの身体に異変がないかを確認する鋼牙。

「えっと… なんともないと思うけど…」

カオルも自分の顔を触ってみたり、手の甲と手のひらを変わりばんこに見てみたりして、確認していたが、鋼牙がある部分を見とがめて急に顔つきを変えた。

「ゴンザ。カオルを確認する!」

その口調の厳しさにゴンザが驚いてみせてから、すぐに落ち着きを取り戻して

「承知しました」

と応える。

「朝食はそれが終わってから摂る。
 だが、その手では普段通りとはいくまい。
 カオルの確認には少し時間がかかるかもしれないから、ゆっくりで構わない」

獣の手になってしまったゴンザのことを配慮して、鋼牙はそう声をかけた。
だが、カオルのことも心配だったのだろう。
彼女の手を引くと

「来い…」

とだけ言ってすぐさま足早にその場を去っていった。





後に残されたゴンザは、自分の変わり果てた手をじっと見降ろし、短い指を動かしてみせた。

「これでナイフが持てるだろうか…」

そう言って深い溜息をついたが、すぐさま気持ちを切り替えて、

「いいえ! このゴンザ、どんな姿になろうとも100%の力を出し切りますぞ!」

と決意を新たに目を輝かせた。


…だが。
その数分後、パジャマのボタン一つ外すのにも四苦八苦する羽目になり、早くも決意が鈍りそうになったのだった。



to be continued
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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