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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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もふもふハプニング!(2)

狼の頭に白いコート。
想像するとカッコよさそうですよね?
某戦隊の宇宙警察地球署の署長(ドギー)もカッコよかったですもんね。

いやいや、そんなことより、カオルちゃんですよ。
一見どこもなんともないようですが…
気になる方は、どうぞお付き合いくださいませ!


拍手[4回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ゴンザがパジャマのボタンを格闘している頃、カオルの手を引いた鋼牙は2階の寝室に入ると鍵をかけた。
寝室の鍵などかけているところを見たことがないカオルは、ただそれだけでさっと緊張した。

「ねぇ、鋼…」

カオルが恐る恐る声を掛けたが、振り返ってカオルを見下ろす鋼牙の目がものすごく真剣で、彼の名を呼ぶ途中で息を飲んだ。

「カオル」

鋼牙のよく響く低い声に、思わずごくりと喉を鳴らすカオル。
そんな彼女に鋼牙は言った。

「服を脱げ」

瞬時にはその言葉が理解できなかったが、しばらくするとだんだんと目を大きく見開いた。
そして、ぽっかりと半開きになっていた口を一生懸命動かして、言葉をひねり出そうとした。

「えっ? なに? どういうこと?
 あの、あたし、なにか聞き間違えたように思うんだけど…
 えっと… その… もう一回言ってもらえる?」

混乱したまま、今度はしっかり聞き取ろうとしたカオルは、右の耳をわずかに鋼牙に向けて彼の言葉に集中した。
先ほどははやる気持ちからスルッと言えた言葉だったが、今こうして聞く体制が万全のカオルを前にして言うとなると、さすがの鋼牙も言いよどむ。
だが、時を無駄にはしたくない。
わずかに視線をそらしながら、声を落としてこう言った。

「…多分、聞き間違えていない。
 服を脱げ、と言った」

その言葉にカオルはガバッと鋼牙を真正面から見て、彼の様子を観察する。
気まずそうに視線を合わさない彼だが、どうやら冗談ではないようだ。

「…どういうこと?」

カオルは理由を尋ねた。

「俺やゴンザの身体の一部が獣の姿になっただろう?」

「ええ。
 でも、私の身体は、顔も手も足もなんともないわよ?」

首をかしげながらそう言うカオルだったが、そんな彼女を鋼牙はぐいっと抱き寄せた。
そして腰に回した手をそろそろと下のほうに下ろしていく。

「なっ、ちょっと、鋼牙!」

鋼牙の腕の中で彼の胸に手をつっぱって身体を離そうとしたカオルだったが、当然のことながらそんなことでは鋼牙の包囲網から逃れるわけなどない。
じわじわと移動していく彼の手の感触に、カオルは身をきゅっと小さくしたとき、鋼牙の手が止まった。

カオルの神経のほとんどは鋼牙の右手に集中していた。
鋼牙の右手は確実にカオルの身体に触れていく感覚がある。
だが、その場所は、カオルの腰よりは下で、お尻よりは上の場所である。
しかも、腰でもお尻でもない部分に触れている。
それは、カオルにとっては初めての感覚だった。

「…?」

不思議に思ったカオルは、そっと自分の背後に首を回す。
だが、右から見ても、左から見てもその位置を見下ろすことができない。

「…ねぇ、鋼牙?
 どうなっているの?」

鋼牙を見上げて不安そうにカオルは問いかけた。
すると、狼の顔が彼女を見降ろす。
通常の感覚ならその姿は恐ろしく見えただろう。
だが、長い鼻先のその向こうに見える目がとても穏やかで、カオルはちっとも怖くはなかった。

「カオル…
 おまえにはどうやらしっぽが生えたようだ」

「ええっ! しっぽ!?」

それを聞いたカオルは慌てて手でその場所を探った。
すると、鋼牙の触れている場所に、確かにうさぎか何かのしっぽのようなものがあって、パジャマのズボンがそこだけこんもりと膨らんでいた。
自分の身に起きた怪現象に、カオルは頭が真っ白になって、

(えっ? えっ? どうして?
 やだやだ、どうしよう?)

とただただ焦りを覚えていた。
だが、

「わかっただろう?」

そう言いながら鋼牙がカオルの髪を撫でられると、少しだけ気持ちが落ち着いた。

「ねぇ、鋼牙。どうしよう?
 どうしたらいい?」

まだ不安の残る目で鋼牙を見上げると、鋼牙は髪を撫でていた手を止め、カオルの両肩に手を置いて、カオルの目を覗き込むようにして言った。

「まずは、おまえの身体のどこまでがどうなっているかを確認したい」

「そ、それって…」

鋼牙は大きく頷いてみせた。

「そうだ。
 だから、服を脱いでくれ」

「で、でも…」

カオルは慌てながらも頭をフル回転させる。

「そ、そうよ!
 あたしが自分で鏡とか見て鋼牙に教えればいい、ってことよね?」

てっきり、裸になって見せろと言われたのかと思ったが、自分で見ればいいだけのこと。

(服を脱げと言われたことも、なにも鋼牙の前で脱げ、というわけじゃないんだわ)

そう考えたカオルはほっとしながら、そう口にした。
けれども、鋼牙は眉をひそめた。

「いや。
 自分の背後は鏡越しだとよく見えないだろう。
 だから、俺が確認したほうがいい」

「そんなぁ…
 …恥ずかしいよ」

羞恥心に頬を染めるカオルであったが、鋼牙は容赦しなかった。

「それでも確認させてくれ」

「…どうしても?」

「ああ」

カオルは困った顔を見せていたが、大きく溜息をついてから

「…わかった」

と小さく返事した。









「安心しろ。
 しっぽの他にはどこも異常はなかった」

鋼牙は最後のボタンを留め、袖口を整えると、ベッドに横たわるカオルを背中越しにちらりと見やった。
カオルは、というと、うつぶせの状態で枕にしがみつくような恰好で、目だけを動かして鋼牙を恨みがましく見た。
とにかく、鋼牙の執拗な ’確認’ がハード過ぎて、指の一本も動かせないくらいに疲れ切っていたし、声を上げ過ぎて喉がカラカラで「うー」も「あー」もただの一言も言えない状態だった。
そんな彼女に、さすがに悪いと思ったのか鋼牙は素直に

「すまなかった」

と謝り、背中が半分くらい見えているカオルに寝具を引っ張り上げてやった。

「ゴンザには、カオルの朝食は待ってもらうように言っておくから、ゆっくりしていればいい」

そう言って鋼牙はベッドに座り、彼女の髪を撫で、頬に優しく触れた。
頬に感じる鋼牙の体温に、カオルは思わず気持ちよさそうに目をつむり、鋼牙の手に頬を摺り寄せるので、カオルを見下ろす狼の目がふっと優しく弧を描いた。
が、次の瞬間、きらっと光ったかと思うと、カオルの頬から移動した手が寝具越しに彼女の背をなぞり、しっぽに触れた。

びくんとカオルの身体が跳ねて、

「いやン」

と声がこぼれた。
どうやら、しっぽはとっても感じやすいところだったようだ。
狼の耳がパタパタと動き、鼻もひくひくと動く。
カオルの甘い声も匂いもそれらはしっかりと拾った。

(惜しい気もするが…)

と思いつつ、

「すぐに元の身体に戻るようにするから安心しろ」

と言い、鋼牙は素早く彼女のこめかみに口づけを残して寝室を後にした。



ちょうどそのころ。
ゴンザは、スクランブルエッグ(本当は目玉焼きにしようと思ったのだが、うまく卵が割れなかった)をフライパンから皿に移し終えて達成感に思わず笑みがこぼれていたことも、ザルバに猫耳が生えてしまって「なんだ、この耳は!」「おい、鋼牙、早くなんとかしろ!」「っていうか、なぜ誰も俺様のところに来ないんだ!」などと悪態をつきまくっていたことも、カオルは知らずに眠りにつくのであった。



鋼牙たちの身体が元の人間の姿に戻ったのは、3日後のことだった。
原因は、いたずら好きな神官が、魔界騎士が剣の浄化に使う獅子の口の周りに、身体の一部が獣に変化(へんげ)する効果のある魔界の草の根の汁を塗りつけたことにあった。
その汁が仕込まれたすぐ後に、たまたま剣の浄化に訪れたのが鋼牙であったことが不運だった。

ただ…

身体が元に戻るまでの3日間。
カオルは昼にならないと起きてこれなかったことを考えると、案外、鋼牙だけはこのいたずらを目一杯楽しんでいたのかもしれなかった。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


「もふもふ」からの(ちょっとだけ)アダルトな香りを漂わせてのフィニッシュでした!
いかがでしたでしょうか?

想像するに、鋼牙さん、カオルちゃんに対してちょっと変態チックなことやっていそうで、シリアス鋼牙さんがお好きな方からはお叱りを受けそうです。
でも頭の中で妄想するのは自由なのです!(そう、自由なのです!)
あんなことや、こんなことや…

いや、鋼牙さんはしないかなぁ~
でもでも、鋼牙さんも男(オス)だしなぁ~


さてさて。

10年に1度の大寒波。皆さん大丈夫でしたでしょうか?
こちらでは1/29(日)だけで30cm降りまして、積雪量は56cmになったそうです。
一日に何度も除雪をする羽目になり、夜はあっという間にバタンキューでした。
そんなわけで、先週は突然お休みしてしまってすいませんでした…

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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